「年収500万円、みなし残業40時間込み」と聞いたとき、実際の時給はいくらになるか。同じ年収500万円でも、残業時間が違えば、時給はぜんぜん違う数字になる。

額面の年収だけ見ていると、時給ベースの差はあまり見えてこない。

本記事は、年収を実労働時間で割って「実質時給」を出してみる方法を、計算式と数字で見ていく。


みなし残業(固定残業代)って、なに?

労働基準法では、残業代は時間ごとに計算するのが原則。みなし残業はその例外で、「月に一定時間ぶんの残業代を、固定額で給与に含めて先に払っておく」仕組み。給与明細では「固定残業代」と書かれる。

たとえば月給に「固定残業代40時間分」と書かれていれば、月40時間ぶんの残業代が給与にあらかじめ含まれている。40時間を超えて働いたぶんは、追加で支払われる必要がある(労働基準法)。


実質時給は、どう計算する?

実質時給は、年収を年労働時間で割った数字。

実質時給 = 年収 ÷ 年労働時間
年労働時間 = (月の所定内労働時間 + 月の残業時間) × 12

月の所定内労働時間は、就業規則で決まっている時間。週40時間・週休2日の会社なら、月160時間くらいが標準。

ここに月の残業時間を足したものが、年労働時間。年収(基本給+手当+賞与)をその年労働時間で割れば、自分の実質時給が出る。


年収641万円のとき、残業時間別に並べてみる

厚生労働省 jobtag では、建築施工管理技術者の平均年収は641.6万円(令和6年版)。この数字を起点に、月の所定内160時間で計算した残業時間別の実質時給を並べると、次のようになる。

月の残業時間 年労働時間 年収641万円ベースの実質時給
0時間 1,920時間 約3,338円
20時間 2,160時間 約2,968円
40時間 2,400時間 約2,671円
60時間 2,640時間 約2,428円
80時間 2,880時間 約2,225円

同じ年収641万円でも、残業時間が0時間の人と80時間の人では、実質時給に約1,113円の差が出る。差は約33%。

額面の「年収◯◯万円」だけだと、ここまでの時給差はほとんど見えてこない。


計算してみると、見えてくるもの

額面の年収は、月給と賞与の合計で決まる。実質時給は分母に年労働時間が入るので、同じ額面でも、長く働いているほど時給は下がっていく。

実労働がみなし残業時間を超えれば、超過ぶんは追加で支払われる。年収は上がるけれど、年労働時間も増えているから、時給ベースで見ると下がる方向に動く場面が多い。

額面だけで会社を比べるのと、時給で比べるのとで、見える順番が変わってくることがある。施工管理の年収を見立てるときに、額面の数字と「年労働時間」「みなし残業時間」を併せて見てみると、時給ベースの比較もできる。


自分の年収を、時間で割ってみる

額面の年収だけでは、自分の処遇は測りきれない。月の残業時間と所定内時間の組み合わせで、時給は大きく動く。

同じ年収レンジ・同じ案件規模・同じ担当業務の人と並べると、自分の数字が分布のどのへんにあるかが見えてくる。

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よくある質問(FAQ)

「実質時給」を比較するとき、住宅手当や現場手当はどう扱いますか?

実質時給は、年収(基本給+手当+賞与)を年労働時間で割って出す数字です。住宅手当や現場手当を含めた年収で計算すれば、手当込みの時給になります。手当の支給条件は会社ごとに違うので、同じ年収でも手当の比率が違うと、手当を抜いた基本部分の時給は変わってきます。